Day 4: 『光が死んだ夏』

あらすじ


今週末、映画「Conjuring Last Rite」を観てきました。James Wan監督の映画の大ファンで全て観てきたのですが、Conjuringシリーズ最終作ということで早速観に行ってきました。エドとロレイン・ウォーレンは本当に実在し、今までの映画に出てくる案件も実際にあった話を元にと言われていますが、その真偽については色々な意見があるようです。少し怖い話をしますが、私の四国の母方が視える家系だったのですが、ConjuringよりもInsidiousの映画は本当に視える方のお話を元に作っているのではないかと思っています。そこで、今回はホラーアニメと日米のホラーについての違いなどを個人的に述べてみたいと思います。

Day 4は『光が死んだ夏』です。『光が死んだ夏』は、山あいの村を舞台にした青春ホラーという新たなジャンルでありながら、観る者に「これはブロマンス的な友情物語なのか、それともBL的要素を含んでいるのか」という問いを投げかけます。幼なじみの“よしき”と“光”。光が一週間山の中で行方不明になり、戻ってきたその存在は、もはや「光」ではなく、“何か”に置き換わっていました。にもかかわらず、よしきはその異質な存在に対し、恐怖と嫌悪だけでなく、異常なまでの執着を抱き続けます。その感情は何なのか。。。そして「光」は?この互いの複雑な感情の描写が、作品を「単なるホラー」以上のものにしています。

日本的ホラーの文化的背景

   

日本のホラーの核には、八百万の神の思想があります。山、川、森や(物ひいてはトイレにまで)、あらゆるものに精霊や神様が宿ると考えられ、自然そのものに畏れが込められています。そのため日本の恐怖は、目に見えない畏れ多いものを汚してしまったことによる祟りや、呪い、また目に見えない何かによって平穏無事であった自然や共同体の秩序を乱されるときに現れるのです。
『光が死んだ夏』の舞台は、ゲイは病気であると言ってしまうような山あいの小さな村です。そんな閉鎖された地域社会で「ケガレ」と呼ばれる穢れが広がり、土着信仰である“ノウヌキ様”の影が現れます。アニメは2025年夏に放送・配信開始され、美しい背景美術と静謐な恐怖表現で高く評価されています。
もしある日あなたの愛する人が戻って来たら?『光が死んだ夏』は一見Stephen Kingのペットセメタリ―を彷彿とさせる設定のようにも見えます。しかし、真の恐怖は大きな音や派手な視覚的な演出ではなく、日常の歪みの中から静かに滲み出す違和感――この点で全く違った新しいジャンルのホラーアニメになっています。

アメリカ的ホラーとの対比 ― 『Conjuring』体験

 

日本のホラーとは対照的に、アメリカのホラー映画はキリスト教的世界観を基盤にしていると思います。「エクソシスト」や「ポルターガイスト」「オーメン」などに代表されるように、悪魔憑きに対して司祭がエクソシズムを行い、聖水や十字架、聖書といったカトリックの象徴が力を発揮することが多いように思います。恐怖の対象は「アンチキリスト」や「悪魔」として描かれ、最終的には宗教的儀式に収束します。
私は『コンジャリング:ラスト・ライツ』を映画館で観ましたが、いわゆる霊が出てくるたびに観客が大きくのけぞり、叫び声をあげる様子を見て、突然霊が出てくるシーンは怖かったのですが、霊自体はあまり怖くなく、むしろそのルックスは少しおもしろくもあり(不謹慎ですみません)留学時代のエピソードを思い出しました。留学時代にテキサスで「呪怨(Grudge)」をホストファミリーと初めてアメリカの映画館で観ました。白塗りの少年がに日本家屋の二階で黙って暗闇に座っているシーンを私は心底怖いと思ったのに、映画館中の周囲のアメリカ人が笑っていた体験を思い出しました。後で聞いたところ、白塗りの少年が全く怖く見えなかったとのこと。日本人の私にとって怖かったのは、死を連想させる白塗りはもちろんの事、5-6才くらいの通常わんぱくざかりであろう年齢の男の子が無表情な佇まいで体育座りをしていたからであり、本来安全であるはずの家からの「呪い」から逃れられない絶望感だったのかもしれません。
何を神聖とみなし、何を恐怖とするか―何をもって穢れとし、それを祓うことができるか―その文化的座標が違えば、観客の反応はまったく異なるのでしょう。鬼滅の刃の鬼もそうでしたが、霊は悪魔のような絶対的な敵ではなく、恨みや未練の延長線上にある存在でした。そこに日本的な「心理的な恐怖」が宿り、ハリウッドの視覚的なホラーとは少し違うのだと思います。


エンディングテーマ「あなたはかいぶつ」MV

  

アニメのテーマ曲もまたアニメを観る上での醍醐味の一つです。『光が死んだ夏』を締めくくるエンディングテーマは、TOOBOEの「あなたはかいぶつ」。作曲者自身が、よしきの気持ちを理解しようとすればする程、純粋で悲しく惨く、登場人物への赦しを与える様な歌と語るこの楽曲は、もの悲しい物語の余韻を音楽で体現しています。MVの光の差す中で歌う姿は、自然と宗教が交錯する祈りの場を象徴しています。衣装は、原作に描かれた「光ではない存在の身体」を思わせるモチーフも取り入れられています。冷たさと親密さ、異質と日常――相反する感覚を赦しとして包み込む映像は、作品のテーマと深く重なります。またアニメバージョンでは、移り行く「光」の様子と「よしき」の心情を電車で表し、「さよならー」の歌詞の前後で実際に「光」が入れ替わっているとも言われています。


結び

『光が死んだ夏』は、友情と愛情、恐怖と赦しが入り混じる青春ホラーです。日本的ホラーの「静かな心理的侵蝕」と、BL的な耽美が重なり、作品に独自の深みを与えています。このアニメ毎週日曜に更新されており、漫画も同時に連載中です。まだ結末はわかりませんが、他者を排除して二人の関係に閉じこもりつつも地域社会を自身の居場所として大事に思う二人。怖いけれども一緒にいたい。そんな愛の呪縛に自ら身をゆだねた二人の行方に目が離せません。

知蓮 Chiren
President, Japanese Institute of St. Louis

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(参考リンク)

写真
https://ew.com/movies/2019/06/26/annabelle-comes-home-conjuring-universe

https://www.theconjuringmovie.com
https://animeanime.jp/article/2025/07/27/91981.html

『光が死んだ夏』あなたはかいぶつ Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=iKBc6dMskmw
『光が死んだ夏』ED Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=_dq21OHPJTk&list=RD_dq21OHPJTk&start_radio=1
https://hikanatsu-anime.com/news/index00220000.html
『光が死んだ夏』公式アニメサイト
https://hikanatsu-anime.com/