1.はじめに

アメリカに暮らす私にとって、ハロウィンは現在馴染み深いイベントの一つとなりました。今回は、私自身の大学時代から現在に至る体験を交えながら、日本でのハロウィンとは言えませんが、特に印象的な京都の妖怪パレードと東京の猫(化け猫)パレードについてご紹介いたします。
2.大学時代のハロウィン
私が大学生だった当時の日本では、ハロウィンはあまり普及しておらず、私もその恩恵を十分には感じていませんでした。私は留学生のメンターや家庭教師をしており、国際交流会館で開催された留学生向けハロウィン・パーティーに誘われたことがあります。ハロウィンという概念が漠然としていた私は、吸血鬼の仮装をした記憶がありますが、それが何を象徴しているのか深く考えることなく参加していました。
その後、アメリカ・テキサス州の大学へ留学した際のハロウィン体験は大きな衝撃でした。ソロリティやフラタニティのパーティーに参加した際、日本の大学時代での「仮装」は日本の控えめなものとはまったく異なり、さらに、テキサスの保守的な教会では、ハロウィンは“悪魔的な儀式”という捉えられ方もされており、そのコントラストに私は大いに驚いたことを覚えています。
今では、アメリカ生活も15年を過ぎハロウィンとは、私にとって大人も子どもも犬も猫も楽しむ季節!というイメージです。

3.現在の日本のハロウィン
現在の日本では、ハロウィンはすっかり日本のイベントとなり、仮装アイテムは、以前のように輸入物を探し求めてハンズやロフトまで足を運ぶ必要はなく、100 円ショップでも手軽に入手できる時代になっています。メイクアップのチュートリアルも YouTube には多くアップロードされ、価格の手頃さに加えて、準備の容易さという点でも羨ましく感じます。
日本では特に「大人が仮装して出かける」文化が顕著で、子ども向きのトリック・オア・トリートとは少し異なった楽しみ方をしているように感じます。少しセクシー過ぎてユニバ入場が問題になったニュースも見て残念に思いますが、中にはとてもユニークな衣装もあり各国ならではの味が出ていて毎年写真を見るのが楽しみです。
4.京都での妖怪パレード:和の怪異

私が楽しみにしている日本のハロウィンとも言えるお祭が、Kaikai Yōkai Festival(「怪怪 妖怪 祭」)です。開催地は 東映太秦映画村(京都市右京区)で、秋から冬にかけて週末・祝日を中心に「百鬼夜行」をモチーフにしたパレードが実施されています。
このパレードは、伝統的な「百鬼夜行(ひゃっきやこう)」という妖怪の行進の伝説を現代風にアレンジしたもので、仮装した妖怪たちが時には観客と共に踊る「妖怪ダンス」も設けられています。
このパレードではカボチャやゾンビだけでなく、日本ならではの妖怪・化け物の演出があり、妖怪好きの方や日本文化に興味がある皆様には、ぜひ一度体験していただきたいイベントです。
5.東京での猫パレード

一方、東京では、猫をテーマにしたハロウィン・パレードがあります。東京・神楽坂で行われる Kagurazaka Bake‑Neko Festival(神楽坂化け猫まつり)は、猫好きや仮装好きにとって人気のイベントです。 私はまだ参加した事がありませんが、いつか行ってみたいと思っています。
このパレードでは、猫のコスチュームや「化け猫」メイクを施した参加者が商店街を行進します。また、アメリカの様に仮装コンテストやワークショップも同時開催されるそうです。参加料を支払って仮装キットやメイクサービスを利用でき、和装・着物で化け猫になって練り歩けるなんて、猫好き着物好きにはたまらない至れりつくせりのパレードですね!
6.私の今年のハロウィン
私は、和を伝えるNPO活動の立場から、「和テイストのハロウィン装い」をコーディネートしてみました。いつもはコスチュームを来てイベントに一緒に行ってくれる愛犬を失ったこと、ホスピスのご利用者の急変があったこと、そして里親の猫の家族が見つかったことから、静かなハロウィンでした。
しかし「せっかくハロウィンだし、私は日本的な仮装=着物スタイルを試してみよう」と思い立ち、オレンジ色の着物を選びました。この着物は、祖母から譲られ、さらにその上の義母(私のひいおばあちゃん)が着ていたもので、約100年前のものです。状態も非常に良く、シボも細やか、花柄が丁寧に染められた静謐さをたたえた佇まいでした。
帯は黒猫をイメージして「帯揚げを猫の首輪のようにリボンを巻き付ける」アレンジをしました。後ろには、私の里親の猫に実際に付けていたピンクのリボンを使用しました。チェシャ猫のような眼差しを 加工で加えたら、本物の猫っぽく見えませんか?
先週の着物クラブでこの装いを披露する予定だったかぼちゃ畑での写真撮影は、残念ながら雨により実現しませんでした。しかし、いつかこの装いで「かぼちゃ畑」と絡めた写真を撮りたいと思います。
7.なぜ「かぼちゃ」なのか

私が「雨でかぼちゃ畑に行けなかった」という少し残念なエピソードを語りましたが、やはり「かぼちゃ」といえば草間彌生さんのアートが真っ先に浮かびます。先日、インスタグラムとフェイスブックに投稿した「あのかぼちゃ猫」の作品ですが、実は米国サンフランシスコの美術館で現在もご覧いただけます。
私自身も母国日本に帰るたびに、草間彌生さんの作品展が開催されていれば必ず足を運んでおり、昨年も今年も展覧会を訪れました。特に印象深かったのが、大阪にある Louis Vuitton(ルイヴィトン)の店舗内で開かれていた展覧会です。入場は無料で、ルイヴィトンのスタッフが説明してくださり、美術館とは思えないホスピタリティと格式に驚きました。さらに、用意されていたお水も高級ブランドならでは、まさに特別な体験でした。作品と一緒に撮影できるスポットも設けられており、「無料でここまで楽しめるなんて」と驚きました。私が過去に京都で有料で参加した展覧会と比較しても、質・規模・体験ともにユニークなものでした。皆さまにもぜひ体験していただきたいと思います。
そもそも草間彌生さんがなぜ「かぼちゃ」を描き始めたのか。展覧会に行ってわかった事は、草間さんはかぼちゃ以外の作品も沢山描れたり作られていらっしゃいます。しかし、彼女の原点は「かぼちゃ」。
草間彌生さんが「かぼちゃ」をモチーフとして深く追い続ける理由について、次のような言葉が残されています。
「Pumpkins bring about poetic peace in my mind」:かぼちゃは私の心に詩的な平安をもたらしてくれる。
幼少期、家族が園芸業を営んでいた環境で、かぼちゃや植物と幼いながら深く関わっていたことが背景にあり、一つ一つのかぼちゃが語りかけてきたとインタビューで話してらっしゃいました。私も、かぼちゃ畑に行くと、どのかぼちゃも可愛くてどの子を家に連れて帰ろうか毎年迷ってしまいます。なので、かぼちゃと対話は出来ませんが、沢山のさまざまな可愛いかぼちゃに囲まれて、かぼちゃ畑にいるだけで幸せな気持ちになります。
8. おわりに

ハロウィンはもともと西洋から輸入された文化ですが、日本では「仮装」という側面から、日本的なモチーフを取り入れることで、おもしろい進化を遂げています。これは普段(社会から抑圧された)自分を「表現」できる唯一の日でもあり、また現実逃避できる楽しいイベントでもあるのかもしれません。
これからも、Japanese Institute of St. Louis を通じて、着物・テーブル茶道・仏教瞑想・アートやクラフトなど、日米文化の発信をしてまいります。もしワークショップ、旅行計画などでご相談があれば、ぜひご連絡ください。
草間弥生さんの常設の美術館は日本にいくつかありますが、直島・ベネッセアートサイト直島は、私のイチオシです。屋外に設置されたかぼちゃ彫刻「Pumpkin」が海に突き出す桟橋の上にあるという印象的な作品です。インスタ映えは、もちろん直島は、ゆったりと自転車で美術館巡り観光するのに最高の島です。
もしアメリカ国内および海外で草間弥生さんの作品を観られたい方は以外を参考に!
• サンフランシスコ・San Francisco Museum of Modern Art(SFMOMA)にて、展覧会「Aspiring to Pumpkin’s Love, the Love in My Heart」(2023 年〜2025 年11 月)として草間さんのかぼちゃ作品が常設展示あるいは長期展示されています。
• 米国ワシントン D.C.の Hirshhorn Museum and Sculpture Garden では、屋外に巨大な「Pumpkin」彫刻が設置された実績があります。
• ロンドン・ケンジントンガーデンズに設置された「Pumpkin (2024)」など、国外でも大型彫刻が展開されています。
改めまして、皆さまにとって素晴らしいハロウィンの季節でありますように。
Chiren
President, Japanese Institute of St. Louis
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(参考リンク)
https://www.jrailpass.com/blog/halloween-in-japan
https://blog.japanwondertravel.com/how-to-celebrate-halloween-in-japan-19964
https://tokyotreat.com/blog/yokai-magic-embark-on-a-parade-adventure-in-kyoto
https://soranews24.com/2024/09/04/kyoto-becomes-city-of-yokai-with-night-parade-of-one-hundred-demons-festival-this-autumn/
https://global.toei-eigamura.com/detail/season-events/
https://matcha-jp.com/en/25872
https://tokyocheapo.com/entertainment/tokyo-halloween/
https://timeout.com/tokyo/things-to-do/kagurazaka-bakeneko-parade-1
https://matcha-jp.com/en/6661
https://ninjakotan-travel.com/post/kagurazaka-bakeneko-festival-2025-10-days-to-go-for-tokyo-s-most-authentic-cat-halloween-parade
https://benesse-artsite.jp/en/story/20210611-1661.html
https://www.phaidon.com/agenda/art/articles/2018/march/21/why-does-yayoi-kusama-love-pumpkins/
https://www.timeout.com/tokyo/art/where-to-see-yayoi-kusamas-pumpkin-sculptures-in-japan
https://www.jrailpass.com/blog/halloween-in-japan
https://soranews24.com/2024/09/04/kyoto-becomes-city-of-yokai-with-night-parade-of-one-hundred-demons-festival-this-autumn/
