
皆さんは、「コレクション」と聞くと何を思い浮かべますか?
フィギュア、食器、旅先のマグネット、ポストカード、記念メダル、記念コイン、切手……。
でも、コレクションは必ずしも“目に見えるもの”だけとは限りません。
日本では、駅・博物館・公園・道の駅・観光案内所など、さまざまな場所に「スタンプ」が置かれています。私が子どもの頃は、スタンプの色や柄、種類の豊富さに、見かけるたびにワクワクしたものです。
そして日本のスタンプラリー文化は、観光地だけに根付いているわけではありません。場所ごとにデザインが異なり、その土地の名所やキャラクター、文化がぎゅっーと詰め込まれています。
多くの場合、スタンプは無料で押すことができ、期間限定でエリアを巡る“スタンプラリー”になっていたり、大阪万博のようにテーマ性のある企画になっていたりします。町おこしの一環として、商店街で各店舗のスタンプを集めると景品がもらえるイベントもあります。
スタンプをひとつひとつ集めるたびに、台紙を見返すと旅の記憶がよみがえります。
RPGゲームで言えば、隠れ家的なセーブポイントのような役割を果たしてくれる存在かもしれません。
つまり日本のスタンプラリーは、単なる旅の記録ではなく、「心の軌跡」そのものなのだと思います。
御朱印の起源

その中でも御朱印帳は、まさにスタンプラリーの先駆けとも言える存在です。御朱印帳の文化の起源は、約1,300年前、奈良時代ごろにさかのぼると言われています。
もともとは、寺社へ参拝した証、あるいは写経を奉納した証明として、寺院側が朱印や墨書きを授けたのが始まりとされています。
そして現在のように、参拝の記念として御朱印をいただき、それを納経帳(御朱印帳)に集めるスタイルが広まったのは江戸時代です。
納経帳とは、本来、寺社でお経を納めたことの証として、記帳や押印を受けるためのものです。
六十六部という「日本全国66ヶ国を巡る修行者」が、それぞれの“国”を代表する寺社へ法華経を納め、納経の証として寺社から「納経請取状」という受領証明を受け取っていました。これが、納経帳(御朱印帳)の始まりだとされています。
巡礼の対象は一宮や国分寺などが多く、時代が進むにつれて四国・西国などの霊場も巡礼の一部として組み込まれていきました。
四国お遍路の御朱印=「お納経」

四国八十八ヶ所巡礼では、御朱印は「お納経(おのうきょう)」と呼ばれています。
各札所の納経所で、本尊名と寺名を墨書きし、朱印を押して授与されます。
神社の御朱印と異なり、お遍路のお納経は「参拝の記念」というよりも、読経・写経を納めた証として、信仰と深く結びついています。
納経帳や納経軸でお納経をいただくと、多くの札所では御影(おみえ/おすがた)も一緒に授与されます。御影とは、各札所のご本尊のお姿を写した札で、ご本尊の分身として大切に扱われるものです。なお、白衣へのご宝印には御影は付きません。
また、四国お遍路のお納経の大きな特徴のひとつが「重ね印」です。
これは、2回目以降の巡礼でも同じ場所に朱印を重ねていく形式で、日付は入れません。
なぜなら、お遍路のお納経は記念スタンプのような「記念」ではなく、「信仰を重ねた証」として積み上げていくものだからです。
お遍路の記憶


私の祖父母も四国出身で、八十八ヶ所巡礼を何度か巡っていました。
四国八十八ヶ所のお納経をすべて集めることの功徳について、教えてもらったことがあります。お納経をいただくことで88の煩悩を消し去り、心身が鍛えられ、信仰心が深まるため、納経帳や納経軸に集められたお印は「結願成就の証」になるそうです。これは自分の願い事のためだけではなく、他者のためでもよく、子孫に譲ってもよいとのこと。
そう考えると、どこか「Quilting prayer」にも似ている気がします。
祖父の一度目の手術の時や、母が倒れた時には祖母が巡礼をし、祖父が二度目の手術をした時には家族の友人が巡ってくださいました。そんなふうにして、四国の実家には納経帳や納経軸がいくつもあるのではないかと思います。
すべて集めて掛け軸に仕立てたものを、祖父にご利益があるとのことで「持っていくか?」と言ってもらえたことがありました。
しかし当時は日本に住んでいたこともあり「自分でもいつか行くだろう」と軽く考えてしまい断りましたが、今になって、少し後悔しています(笑)
旅の“足元の楽しみ”

最後に、もうひとつ日本ならではの、ユニークな“集める楽しみ”をご紹介したいと思います。それが「マンホール」の写真です。
日本のマンホールは、市町村ごとにデザインが違います。ゲームのやりすぎで、マンホールというとニンジャタートルズかゾンビしか出てこないイメージだった私ですが、日本に帰ると、町が変わるたびに足元を眺めながら歩くのが楽しくなります。
海外と比べても、地方自治体ごとにマンホールに特色があり、その市や町を道路からPRしている国は日本以外にないそうです。
ポケモンのマンホールや、恐竜の化石で有名な勝山市の恐竜マンホール、錦鯉のマンホールなど、かわいいデザインもたくさんあります。最近は「マンホール観光」という言葉があるほど、マンホールを探して写真を撮る人が増えているのも納得です。
こちらはポケモンのご当地グッズショップのサイトで、マンホール情報も掲載されています。
また、ご当地の各都道府県Tシャツが欲しい方は、こちらから購入できます。
さらに、日本在住の方は、ふるさと納税の返礼品で「デザインマンホールをモチーフにしたTシャツ」がもらえることもあります。
*ふるさと納税(hometown tax)は、日本で導入された制度で、自分が応援したい市区町村(自治体)に寄付をすることで、寄付した金額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除される仕組みです。寄付は出身地に限らず、全国どの自治体でも選べます。寄付した自治体からは地域の特産品などの返礼品を受け取れることも多く、地域支援と税の還元を組み合わせた制度として広く利用されています。
旅の醍醐味


旅の楽しみといえば、食べること、自然に触れること、写真を撮ること。
でもそれだけではなく、スタンプラリーや御朱印帳、マンホール探しなど、日本には思い出を残す方法がたくさんあります。もし日本へ行かれることがあれば、ぜひ足元や、駅などに置かれているスタンプにも目を向けてみてください。
普段は気にしない場所に、思いがけず新しい趣味が見つかるかもしれません。
私のNPOでは、ちょっとした旅行プランニングのアドバイスもしています。
日本旅行をより深く楽しむためのヒントや、関西のおすすめスポットやお店(完全に私の主観です!)なども含めて、ぜひお気軽にご相談ください。
参照リンク
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260111-OYT1T50100
https://88shikokuhenro.jp/basic/ohenro-no-kokoroe/
https://jafmate.jp/car/traffic_topics_20230711.html
https://goshuin.net/history-01/#:~:text=%E5%BE%A1%E6%9C%B1%E5%8D%B0%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90%E3%81%AF%E6%B1%9F%E6%88%B8,%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8D%E3%81%86%E3%80%82
https://88shikokuhenro.jp/basic/ohenro-no-kokoroe/?utm_source=chatgpt.com
https://local.pokemon.jp/manhole
https://ec.awakakejikudo.jp/products/detail/161
https://www.jswa.jp/manhole-card
https://en.wikipedia.org/wiki/Hometown_tax?utm_source=chatgpt.com
https://straightpress.jp/20220119/630210
https://www.jalan.net/news/article/208225
